マッキンゼーの7Sフレームワーク:効果的な組織改革のガイド
組織改革は、企業にとって永遠の課題です。変化の激しい現代社会において、企業は常に競争力を維持するために、組織を進化させ続ける必要があります。しかし、組織改革は簡単ではありません。多くの企業が、改革を断念したり、思うような成果を得られなかったりしています。
そんな組織改革の成功を強力にサポートするフレームワークが、「マッキンゼーの7Sフレームワーク」です。
提唱したマッキンゼーについて
7Sフレームワークの解説の前に、提唱者であるマッキンゼーについておさえておきましょう。
マッキンゼーは個人の名前ではなく、マッキンゼー・アンド・カンパニーという、世界最大級の戦略コンサルティングファームの一つです。1926年にアメリカで設立され、現在では世界各国にオフィスを構え、多様な業界のクライアントに対して戦略コンサルティングサービスを提供しています。
マッキンゼーは、多くの革新的な経営理論やフレームワークを生み出してきましたが、その中でも特に有名なものが「7Sフレームワーク」です。
7Sフレームワークとは
マッキンゼーの7Sフレームワークは、1970 年代後半にマッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタントたちによって開発されました。組織の7つの要素から構成されており、組織の現状を多角的に分析し、課題を特定することができます。開発から30年以上がたった今でも、効果的な組織改革を実現するためのツールとして活用されています。
組織を構成する、7つの要素
それぞれの要素を表す英単語の頭文字が「S」であるため、7Sフレームワークと呼ばれています。7つの要素は以下の通りです。
- 戦略 (Strategy):企業が達成したい目標と、それを達成するための具体的な計画
- 組織構造 (Structure):組織の組織図や、各部署の役割分担
- 経営システム (Systems):組織運営に必要な仕組みや制度
- 共通の価値観・理念 (Shared Values):組織全体で共有する価値観や理念
- 組織スキル (Skills):従業員が持っているスキルや知識
- 人材 (Staff):組織に所属する従業員
- 組織文化・経営スタイル (Style):組織のリーダーシップや意思決定の仕方
「ハードのS」と「ソフトのS」
7つの要素には組織のハード面である「ハードのS」とソフト面である「ソフトのS」の両方の要素を網羅しており、組織の現状を多角的に把握することができます。ハードのSは、目に見える具体的な仕組みや制度を指し、ソフトのSは、目に見えない組織文化や価値観を指します。
ハード/ソフト | 要素 | 特徴 |
---|---|---|
ハードのS (目に見える具体的な仕組みや制度) | ・戦略 ・組織構造 ・経営システム | ・変更が容易 ・短期間で変更しやすい ・コントロールしやすい |
ソフトのS (目に見えない組織文化や価値観) | ・共通の価値観・理念 ・組織スキル ・人材 ・組織文化・経営スタイル | ・変更が困難 ・中期〜長期の時間がかかる ・経営者がコントロールしにくい |
各要素を分析することで、改革のターゲットとなる要素を明確にすることができます。また、各要素はそれぞれ独立して存在しているわけではなく、相互に関連しています。
7Sモデルの難所:組織改革がうまくいかないときに注目すべき要素とは
ある一つの要素にばかり注力し、他の要素がおろそかになっている場合、全体最適が実現できません。各要素間の関係性を改めて確認し、整合性を高める必要があります。
戦略や構造といった「ハードのS」にばかり目が行きがちですが、共通の価値観、組織スキル、人材、組織文化といった「ソフトのS」が組織改革の成功を左右する重要な要素です。
「マッキンゼーの7Sモデルを率いる次世代のリーダーシップ」と題したウェビナーでは、複雑に組み合わさる「ハードのS」と「ソフトのS」を組織に浸透させるには、従来のマネージャーではなく次世代のリーダーシップが不可欠と説いています。
「ハードのS」と「ソフトのS」が相互に関連する中で、置き去りにされがちな人の感情をカバーし、従業員が納得感を持って改革取り組むことためには、アクティブリスニングやコーチングなどの対話技能を備えた次世代のリーダーシップが必要とされているのです。
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