レビンの3段階組織変革プロセス：組織改革研究の元祖
近年、VUCA時代と呼ばれる激動の時代において、組織は絶えず変化し続けることが求められています。しかし、組織改革は容易ではなく、多くの課題を伴います。
そこで今回は、1947年に社会心理学者クルト・レビンによって提唱された「レビンの組織変革プロセス」について解説します。このモデルは、組織変革を成功に導くための3段階のプロセスをわかりやすく示しており、人事・労務担当者や経営者にとって非常に役立つツールとなります。
レビンの組織変革プロセスとは
レビンの組織変革プロセスは、組織を変化させるための3つの段階で構成されています。
- 解凍：従来の慣習や価値観を解きほぐし、変化を受け入れる準備をする段階
- 変革：新しい価値観や行動様式を導入し、組織を変化させる段階
- 再凍結：変化を定着させ、新しい状態を安定させる段階
それでは、各段階の詳細を見ていきましょう。
第１段階：解凍（Unfreezing）
組織変革の第１段階は「解凍」です。これは、現状の業務プロセスや文化、行動パターンを見直し、変革の必要性を認識させる段階です。以下のようなポイントが重要です。
- 現状分析: 現在の業務プロセスや組織文化を評価し、どこに問題があるかを明確にする。
- 変革の必要性を伝える: 従業員に対して、なぜ変革が必要なのかを理解させる。
- 抵抗の管理: 変革に対する抵抗を最小限に抑えるための戦略を立てる。
第２段階：変革（Changing）
次の段階は「変革」です。この段階では、新しい方法やプロセスを導入し、実際の変革を行います。効果的な変更を実現するためのポイントは以下の通りです。
- 新しいビジョンの提示: 組織が目指すべき新しいビジョンや目標を明確にし、全員に共有する。
- トレーニングと教育: 新しいプロセスやスキルに対するトレーニングを提供し、従業員が新しい方法に適応できるよう支援する。
- 実行とフィードバック: 新しい方法を試行し、継続的なフィードバックを収集して改善を行う。
第３段階：再凍結（Refreezing）
最終段階は「再凍結」です。ここでは、新しいプロセスや文化を定着させ、組織が安定して新しい方法で機能するようにします。
- 新しい文化の定着: 新しい行動やプロセスを日常業務に組み込み、組織文化として定着させる。
- 評価と補正: 定期的に評価を行い、必要に応じてプロセスを調整する。
- 成功の共有: 成功事例を組織全体で共有し、モチベーションを維持する。
各段階における、組織改革を成功させるポイント
レビンの3段階組織変革プロセスは、企業や組織に限らず、あらゆる社会的集団にも当てはまると言われています。会社全体という大規模な集団であれ、部門やチームといった小集団であれ、集団が変化する時に通るプロセスなのです。
とはいえ、実際に企業や組織が改革を行おうとした時に、すんなりとこのプロセスにのっとって進められるわけではありません。「レビンの3段階組織変革プロセスを率いる次世代のリーダーシップ」と題したウェビナーでは、各段階で組織改革の障壁として起こる現象とその乗り越え方が、事例を交えて語られています。
例えば、最初の「解凍」の段階では、人間が変化を前にすると、誰しも拒否反応を示して思考や意識が硬直することに触れています。ここでのポイントは、変革や改革に対して抵抗を感じるのは当然のことであり、それに合わせて変化していくことが難しいことを認め、伝えることです。
また、どの段階においても変化に対する抵抗感や硬直した意識に配慮せずに進めてしまうと、組織改革がうまくいかない結果につながります。これを避けるためにも、次世代のリーダーシップを備えたリーダーが、コーチングの技法などを用いてチームの感情や願望を変革のビジョンと一致させる手助けをし、コミュニケーションと共感を通じて支援を提供し、関与を持続させることが重要です。
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