個人事業主として人事・組織開発・新規事業の支援などを行う傍ら、コーチングも手がける木村さん。会社を辞めフリーランスになるタイミングで35 CoCreation(サンゴ コ・クリエーション)のコーチングを受けられました。
自らもコーチである木村さんが桜庭を選んだきっかけは「ヘルスコーチング※」というキーワードでした。
木村さんはなぜそのワードに惹きつけられたのか? 実際に受けてみてどのような気づきや変化があったのか?
自身もコーチの顔を持ちながら、コーチングを受けたことで体得したこととは?
独立を前に、人との関わり方について課題意識を抱いていた木村さんが、一生続くような太い繋がりが増えていると感じるまでの変化について語ってくださいました。
※ヘルスコーチング:健康的な行動変容を促し、メンタルヘルスケアを支援するコーチングメソッド。
言葉の裏にも、敏感さゆえの不安が。独立は向き合うきっかけ
35 CoCreation合同会社CEO 桜庭理奈(以下、桜庭):木村さんがコーチングを受けようと思われた時に抱えていた課題や葛藤、その時の感情はどのようなものだったのでしょうか?
木村(以下、敬称略):会社員時代から、他者との関係において人の言外に敏感なせいか、メンタルに波がありました。ただ、当時は社内の人に頼ることができたので、あまり問題視はしていませんでした。 しかし、個人事業主として独立を考えるようになって、「これからは何事にも自分が向き合わなければならない」と思ったら、一度立ち止まってみたくなりました。「今までのようなメンタルの波を克服したい」、「心の持ちようを自分でコントロールしたい」と考えたのです。
また、自身がコーチングを学び始めたタイミングでもあったので、勉強にもなるかなとも思っていました。
桜庭:もしかすると、木村さんのお悩みへのソリューションはコーチング以外にも選択肢があったかもしれないのですが、それでもコーチングを選ばれたのには、ご自身の勉強以外にも何か理由はあったのでしょうか?
木村:タイミングとご縁の部分が大きいのですが、たまたま桜庭さんのFacebookの投稿を拝見して、そこで目に飛び込んできた「ヘルスコーチング」というワードにとても興味を持ちました。聞いたことのないワードでしたが、自分の課題はメンタルに関することだと考えていたので、これはいいのではないかと思ったのです。
桜庭:確かに、ヘルスウェルネスコーチングを希望されていましたね。
木村:そうなんです。あと、実際にコーチングをお願いする前に一度桜庭さんとお会いした時に、自分の思っていることを100%話せる方だと感じたことも決め手の一つでした。私は人とコミュニケーションする際に、「相手が心の中で考えていること」に対して過敏になるあまり、自分の考えをうまく伝えられないことが課題たったのですが、桜庭さんとの会話ではそんな靄のようなものを感じることなく、クリアな感覚で話ができたのが大きかったですね。
桜庭:なるほど。では、実際コーチングを始めるにあたり、どんなことを期待していましたか?
木村:それまでは人と向き合う際に、相手の心の動きを敏感に感じ取ってしまうことで、他者と関わり合うことにいつも不安を感じていました。ですが、個人事業主としてやっていくとなると、自ら動き判断することの連続です。
会社員時代には背を向けてきたことにいよいよ向き合わなければならないと思っていたので、とにかく不安を解消したかったです。相手の言葉を受け入れられるようになって、メンタルの波が小さくなって安定し、最終的にはメンタルを強くしたいと思っていました。同時に、自分の気持ちをさらけ出すことへのドキドキと、不安を解消できた時にどんな新しい自分が発見できるのかというワクワクもありましたね。
対話で飛んでくるボール、選別は“自分の権利”に目からウロコ
桜庭:実際にコーチングを受けてみて、自分や周囲に対しての気づきはありましたか?
木村:人とのコミュニケーションにおいて、相手から自分に向かって飛んでくる言葉・ボールを全て受け止めなくてもいいということに気づきました。私たちは日々の生活の中で周りの人の言葉や考え方、メディアから流れてくる情報を浴びながら生きていますが、そこから何を、どれくらい、どのように受け止めるのか自分で選んでいいというのは、文字通り目からウロコでした。
桜庭:コーチングのどの局面で、その気づきがあったのでしょう?
木村:コーチングが始まって3〜4か月目くらいでしょうか。自分の課題を解決する上で、「なぜ初めての人と話すことが不安なのか?」、「自分は何を恐れているのか? 」ということに目を向けなければならないと思っていましたが、その原因は、人と話をする際に相手のレスポンスを気にしすぎてしまうからだと気づきました。それからは、どんなレスポンスであっても、「何を受け入れるかは自分で選べる」と思えるようになったのです。
桜庭:そこに選択肢があるのだから、恐れる必要はないと気づいたわけですね。
木村:そうですね。選択肢があるということは、つまり選択しないこともできる。最悪スルーしても構わないのだと気づきました。たしかこの頃、イメージトレーニングを行ったと記憶しています。目を瞑って、自分に向かって飛んでくる言葉のボールをどうキャッチするのか? をイメージするというものでしたが、第三者的な自分を置いて俯瞰して見た時に、全てが自分に向かっているわけではない。取れるボールもあれば、避けてもいいボールもある。違う方向へ飛んでいったら、「行っちゃった」と見送ればいいと“体で感じた”のです。これは初めての感覚で、とても新鮮でした。
桜庭:その気づきから、行動はどう変わりましたか?
木村:人と話す時に、イメージトレーニングのように一歩引いて第三者的な目線で話すようになりました。自分を客観視できるので主観を入れずに人の話が聞けますし、自分と違う意見でも「そういう風に考えているのですね、なるほど」と、受け取る側としての度量が大きくなりました。
そうすると、相手の考えを否定することなく、適切な距離を保って前向きな議論ができるようになりました。
桜庭:行動が変わったことで感情的にも変化はありましたか?
木村:受け取る構えができたことで、一喜一憂しなくなりましたね。喜びすぎず、凹みすぎず、どちらもコントロールできている感覚です。感情の波が小さくなったので、気持ち的にはリラックスして穏やかに過ごせることが多くなってきました。
相手側にも選択権。そう思うと、人目を気にせず自分らしくなれた
桜庭:コーチング前に期待していたことが実現できているのですね。木村さんが、コーチングの中で記憶に残っている問いや対話はありますか?
木村:印象的だったことは、具体的な問いというよりも、先ほどもお話したイメージトレーニングでしょうか。目を閉じて、自分の呼吸に集中して、体のどの部分でどう感じるかを考えるという。
桜庭:「今出てきた感情は、体のどこで感じますか?」「その状況を思い浮かべた時に体を動かすとしたら、どこをどのように動かしますか?」といったイメージトレーニングでしたね。
木村:コーチングの要所要所でやりましたよね。桜庭さんに適切な整え方をしてもらえたので、自分自身をスーッと感じられる場に身をおけました。この時の感覚は今でも体の中に残っています。例えば、受け取らなくてもいい言葉が飛んできた時に、本能的に避けられるというか、反射神経がよくなった気がします。
桜庭:変化を体に取り込んだ感じですね。その上で、コミュニケーションに変化はありましたか?
木村:自分に選択権があるように、相手側にも選択権があると思うことで、以前よりも自分の言いたいことが気軽に吐き出せるようになりました。伝えたいことを伝えた上で、それを受け取ってくれる人とは信頼関係が深まってきているように思います。
桜庭:伝えることを伝えたときに、それを受け取るか受け取らないかは相手次第だとわかったから、自分で言い切れるようになったということなのでしょうね。木村さんの言葉を受け取ってくれる人との関係性については、何か変化を感じていらっしゃいますか?
木村:密に仕事ができるようになりました。繋がりの線が密になっているし、強固にもなっていると思います。
桜庭:逆に細くなっていく人もいるのでしょうか?
木村:接触頻度が下がる人はいると思います。しかし、基本的に木が根を張って様々なところと繋がっているのと同じように、人間も面識のあるなしに関わらず、社会のどこかで繋がっていて相互作用しているものだと思っています。然るべき時に然るべき縁で繋がりが太くなったり、距離が近くなったりするのかなと。
桜庭:それはコーチングでの変化を経て感じられたことですか?
木村:元々持っていた考えではありましたが、どこかで人が離れていくことや、人の目を強く気にするところはありました。しかし、今は人からどうみられるかを過度に意識しなくなって、楽になったし、自分らしくいられるようになったと思います。心をオープンにしていても、受け入れるかどうかは自分で選べると思うと、殻をかぶる必要はないですから。
伝えたいことを伝えた上で、繋がりが密に強固に
桜庭:木村さんの変化について、周囲から何かフィードバックはありましたか?
木村:直接的なフィードバックはありませんが、周りの環境が変わってきていると感じています。例えば、話したいと思った人と話す頻度が増えたり、相談だけでなくちょっとしたアイデアなどもテキストですぐ送ってくれたりするような距離感の人ができました。
桜庭:新しい関係性が築けているのですね。
木村:そうですね。ビジネスパートナーや友人というより、大袈裟かもしれませんが、同じ時間を生きている共同体というか、一生続くような強固な繋がりができています。出会いのきっかけは仕事でも、利害関係なく付き合える人が増えてきているように思います。今はとても心豊かで、心地よい状態でいられます。
桜庭:幸せなことですね。最後に、もし木村さんが私のコーチングを誰かに勧めるとしたら、どのような人に勧めますか?
木村:なかなか本音を言えない、自分のことを話せない人ですかね。もしくは一般的なコーチングで成果が出ていないとか、何か違うと思っている人などにお勧めだと思います。
桜庭:痒いところはあるけれど、それがどこなのかわからないというような感じでしょうか?
木村:そうそう、そんな人たちには、さまざまな角度からコーチングを見ることができて、資格も実績も豊富な桜庭さんのプログラムが最適だと思います。
桜庭:ありがとうございます!今日は私自身元気になりました!
編集後記(桜庭)
コーチングは言葉を介して対話をするプロセスではありますが、その中で心(感情)・身(体感・所作)・信(信念)の一貫性が高まるにつれ、クライアントの体感や感情に本質的な変化が訪れていく様子を、今回のインタビューでリアルにお伺いしました。ヘルス&ウェルネスコーチングは、特にクライアントのウェルビーングに焦点を当てたコーチングであるからこそ、サンゴのオントロジカル・コーチングのアプローチがばっちり合致しました。クライアントが自分自身の変容だけに留まらず、自分発信のインサイドアウトで「勇気の輪」を周りに波及させていく様子に、感動しました。