竹下さん(仮名)は、個人事業主やフリーランスなど、現代のジョブ型ワークスタイルに合わせた副業・兼業人材を企業に紹介する会社で営業をなさっています。新卒や年上のメンバーをマネジメントすることに悩んでいた際に、リーダーシップについて考えさせられ、(35 CoCreation/サンゴ コ・クリエーションの)コーチングに出会いました。コーチングを受ける前は「果たして自分にとって必要なのか?」と不安に思う反面、「どんな気づきがあるのか」ワクワクしたといいます。
実際に受けてみて初めて向き合った「直したかった自分」。自分との対話を経て、行動に変化が起こりました。
結果、それまで興味がありながら「必要なのか?」と踏み込めなかったコーチングは、今では竹下さんの未来の一部となりつつあります。
『自分のメンタルモデル※に「言語化できない漠然とした自己嫌悪」を抱いている人にコーチングを受けてもらいたい』と話す、竹下さんの気づきとは……?
※メンタルモデル:誰もが無自覚のうちに持っている、価値観や思い込みのこと。
自分が変わる姿が想像できないからこそ高まったワクワク感
35 CoCreation合同会社CEO 桜庭理奈(以下、桜庭):竹下さんとは、半年間コーチングをご一緒してきましたね。まずは、コーチングを受けられる前に抱いていた葛藤などについて聞かせていただけますか?
竹下さん(以下、敬称略):今勤めている会社で、去年マネージャーになりました。メンバーには、新卒の人もいれば年上の人もいる中で、それぞれの働き方の未来を作っていかなければと思った反面、自分を育ててくれた先輩マネージャーのような立ち振る舞いはできないんじゃないかという不安もありました。
そこからリーダーシップを学ばねばと模索し、「サーバントリーダーシップ※」に行き着きました。ただ、実際どのようにコミュニケーションをとればいいのか、自分に何が足りないのかもわからない。そもそも自分のスタイルに合っているものなのかと悩んでいました。
桜庭:そんな時に弊社のコーチングに出会われたのですね。同僚の方からのご紹介だったとか。
竹下:そうです。同僚からの口コミです!
コーチングには元々興味があって、『いつか関連の仕事を自分もできたらいいな』と漠然と思っていました。実際にコーチングを受けてみることで全体像を知りたい、解像度を上げられたら…というのが理由の一つです。また、自分自身の職能開発につながるとも考えました。
桜庭:受ける前に期待されていたことや不安、逆にワクワクしていたことはどんなことだったのでしょう?
竹下:コーチングを受けた人からは、「考え方が変わった」とか「自分がどうあるべきかわかった」といったことをよく聞いていました。でも、私はあまり悩まないタイプというか、目の前の事象に対して、スパッと判断し、自分で悩み(のタネ)を解消してしまう方なので、「そもそも自分はコーチングが必要な人種なんだろうか?」「コーチングを受けて考え方は変わるのか?」と不安でした。正直、自分が変わった姿を想像できずにスタートしたので、期待することも明確には描けていませんでした。
ただ、自分が変わる姿が想像できないからこそ、どんな体験をして、どんな気づきや価値を得られるのだろうと、とても楽しみでした。不安よりワクワクの方が大きかったですね。
※サーバントリーダーシップ:まずは相手(チームメンバー)に奉仕した上で、指導していく支援型リーダーシップのこと。
自分の中の「小さい自分=感情」と対話
自分を愛せるようになると、行動が変わった
桜庭:実際に、コーチングを受けてみて、不安は解消されましたか? どんな気づきがあったのでしょう?
竹下:私のような「自分で判断できるタイプ」でも、いろいろな価値観や客観的意見を得ることで、自分の判断軸は持ちつつも、新たな判断軸を形成できるのだなと思いました。それで、「自分には必要か?」の不安は解消されましたね。
また、コーチングのある段階で「自己内省」する回があったのですが、その際に桜庭さんに言われた「(自分の中に)“おせっかいモンスター”を飼っている」の一言がすごくしっくりきたのです。それまでも、自分がどういうタイプの人間か感覚的には理解しているものの、実際向き合うことはできていなかった。この一言で、“おせっかいモンスター”をはじめ、自信家な自分といった自分の中にいる複数の“小さい自分”と対話することができました。
“小さい自分”には「直さなければ」と思っている自分もいて。様々な“小さい自分”との対話を経て、直したいことも含めて自分であり、愛すべきパーソナリティなんだとポジティブに捉えられるようになりました。結果、行動が変わったと思います。
私は元々、感覚思考の人間というか、思考を言語化することが苦手だったんです。感覚って人それぞれなので共感するのは難しいと思うのですが、桜庭さんは共感度が高く、コーチングを通じて「自分の世界を一緒に見て理解してくれている」と感じていました。それによって、思考や感情の言語化ができ、内省が進んだ気がします。
桜庭:どんな風に行動が変わったのでしょう?
竹下:私は人と話している時でも、頭の中に言いたいことがテキストとして浮かんでくるんです。それを今までは、脊髄反射的にすぐ口に出してしまっていました。思考がうまく言語化できていないのに、思ったことをそのまま発言していたので、結果、喋りすぎて、自分の価値観を相手に押し付けてしまっていました。思い浮かぶ言葉を、まるで(キーボードの)エンターキーを押すように、どんどん発してしまう自分を直したかったんですね。
今は相手の発言を聞いて、浮かんでくるテキストを消去したり上書したりできるくらい、エンターキーを押すのを踏みとどまることができるようになりました。「多くを語らない男の方がかっこいいぞ」と自分に語りかけながら。
これまでは、発言してしまってから「失敗した」と反省することがあったのですが、今は一旦立ち止まることで、その発言がどんな結果をもたらすのかを考え修正もできるので、後から反省することは減ったように思います。
年齢や環境の変化で見えてくる自分を
ありたい姿や、自分の中での最適な状態へ
桜庭:竹下さんの行動が変わったことによる周囲の反応はどうですか?
竹下:周囲の反応は、正直まだよくわからないです。「よく話を聞くようになったね」とは言われていないので。
ただ、メンバーとの信頼関係は元々悪くはなかったのですが、コーチング後さらに強まっていると感じていて、実際「いいチーム」との評価を各所からいただいています。
桜庭:コーチングによって得た気づきや行動変容を、今後どのように生かしていきたいですか?
竹下:まだ自分の未来がはっきりと見えているわけではないので、今の状態を継続していこうと思っています。今回、「自分はこんなタイプ」と漠然と理解していたメンタルモデルの「直したい部分」に向き合うことで、行動に変化が起こりました。この「直したい部分」は、年齢や環境によって変化するものだと思うので、その都度自己内省をし、最適な状態へ自分を変えていきたいです。
かつて、私の直したい部分は「喋りすぎて、価値観を押し付けがち」なところでしたが、「人の話を聞く」ことが重要なコンサルタントやセールスの職につき、環境が変化したことで、それに気づくことができました。そのタイミングでコーチングを受けたことで、そこに向き合えたのがよかったと思っています。
漠然としたメンタルモデルに自己嫌悪を抱いている人におすすめ
桜庭:なるほど、タイミングですね。ご自身の気づきを踏まえて、コーチングはどんな人が受けると効果的だと思いますか?
竹下:あらゆる人が受けた方がいいと思いますが、年齢や環境でいうと20代前半・社会人2〜3年目の人で、うまく言語化はできないんだけれども、自分の性格や性質に漠然と自己嫌悪を抱いている人に特に勧めたいですね。
自己嫌悪を感じる部分は、周囲からよく思われていない部分だと思うんです。学生時代の友人などのプライベートな関係性だと、他の良い部分でカバーされて大目に見てもらいやすい。でも、社会に出るとコミュニケーションのスタイルが変わり、「それはそれ、これはこれ」と、良いところと悪いところが明確に切り分けられます。そんな状況下では、次第に変わらなければならないことに気づくでしょう。そのタイミングでコーチングを受け、変えたい部分と向き合い、コーチからの共感を受けて言語化していければ、自己嫌悪の正体を明確にでき、ありたい姿に進んでいけるのかなと思います。
桜庭:非常にわかりやすくて具体的な例ですね。
竹下:こうして話していくと、思考が整理されてスッキリします。実は、コーチングの良さを実感したので、私もコーチングのスクールに通うことにしました。
桜庭:漠然と興味のあったコーチングの解像度が上がってきているのですね。
竹下:はい、自分への投資だと思って頑張ります!
桜庭:頑張ってください。今回はお話ありがとうございました。
編集後記(桜庭)
竹下さんとのコーチングの旅路を通して、改めて「会いたい自分に会いに行く」伴走を、半年間一緒に歩んできたんだなぁ、という想いを強くしました。コーチングによって、クライアントがいきなり行動を変えることに焦らずに、今ある自分や周りをしっかりと観察できる観察眼を鍛えること、それが、今回の「メンタルモデル」のシフトと同義なのかな、と感じました。観察者である自分の本質が変わることで、見えてくる世界が変わる。そのパワーを改めて感じるお話でした。