コーチングを通して次世代リーダー育成を支援する、35 CoCreation(サンゴ コ・クリエーション)CEOの桜庭です。今回はコーチングプログラムの体験談をお届けします。
世界40か国で事業を展開する世界最大の包装資材メーカー、スマーフィット・ウェストロック社の日本法人であるウェストロック合同会社。同社は、マルチパックのパイオニアとして1969年に創業し、現在50人を超える社員がいます。しかし同社は、ある経営課題を抱えており、今回、35 CoCreationのコーチングプログラムを受講することを決定。2024年12月現在もプログラムが進行中です。
今回の記事ではプログラムを通じて、どのように課題を乗り越え、組織が成長してきているのか、同社日本事業を統括するゼネラルマネージャー園田悟さんと人事部長の橋本ルミさんに伺いました。
-そもそもコーチングプログラムを受けようと思われたきっかけについて教えてください
園田さん:
2023年6月に入社して以来、社員一人ひとりが会社の成長に責任感を持って動いてくれないことに、強い危機感を感じていました。M&Aを繰り返してきた歴史を持つ当社では、トップダウンで方針が決まることが多く、社員の声が本国や上層部に届きにくい環境がありました。社員たちの間には、「言っても無駄」という諦めの空気が漂い、活気のない組織になっていました。
もう一つ、深刻な課題は英語力の不足でした。グローバルなビジネスを展開する当社にとって、世界中の人々と円滑にコミュニケーションが取れないことは、大きなハンディキャップでした。
このままでは、会社の成長を阻害しかねない。そうした危機感から、何かを変えなければと、必死に打開策を探していました。 そんな時、橋本さんがチームに加わってくれてより深いレベルでの変革を目指し、コーチングプログラムの導入を決めました。
橋本さん:
私が入社したのは今年の3月ですが、園田さんの話を聞いてまもなく、人事担当として、社員一人ひとりの成長を支援したいという思いに駆られました。これまでの経験上、座学の研修だけでは、社員の行動はなかなか変わりません。社員一人ひとりの心に火をつけ、自ら成長できるような環境を作りたいと考え、「人の在り方」にアプローチするような、コーチングプログラムの導入を提案しました。
そこで元々ご縁のあった桜庭さんが思い浮かび、園田さんにご紹介したのがきっかけです。
-コーチングプログラム以外にも、様々なアプローチを検討されたとのことですが、最終的に35 CoCreationのプログラムを選ばれた理由は何だったのでしょうか?
園田さん:
当初は、社員の英語力向上のための英会話レッスンや、1on1コーチングの導入も検討しました。しかし、それだけでは物足りないと感じていたのです。単に英語が話せるようになるだけでなく、グローバルなビジネスで求められる『考え方』や『コミュニケーション力』を根底から変えたい。そんな思いが強くなりました。
1on1コーチングも、上司と部下が一歩踏み込んでコミュニケーションすることで、一人ひとりの気づきにはつながるかもしれませんが、組織全体のカルチャーを大きく変えるには、もっと根本的なアプローチが必要だと考えました。
最終的に35 CoCreationにお願いしたのは、まさにその『根底』に深く入り込み、社員一人ひとりの『在り方』を変えてくれると感じたからです。社員が自分自身と向き合い、成長を実感できるような、そんなプログラムに惹かれました。
-人の在り方からアプローチするオントロジカルコーチングは、自分自身の内なる声に耳を傾け、心と体のつながりを深めることで、より人として成長するための手法です。これにより、単なる『指示や管理を行うだけのリーダー』から、チーム全体を共に成長させる『次世代のリーダー』へと進化できるのです。
園田さん:
生産工場を持つ当社では、多岐にわたる専門分野を持つ社員が活躍しています。営業、サプライチェーン、物流、デザインなど、それぞれが持つ高い専門性を活かしつつ、組織全体の成長を牽引し、より良い未来を共創できるリーダーを育成したいと考えていました。
特に、若手社員には、単に指示を待つだけでなく、自ら考え、行動し、チームをまとめていくような、より主体的なリーダーシップを発揮してほしいと考えています。今回のプログラムは、まさにそのような私たちの思いに合致するものだと感じました。
そこで各部署から次世代リーダー候補となる5名を選抜し、プログラムを受講してもらうことにしました。
-今回のプログラムでは、演劇ワークショップというユニークな手法を取り入れたオントロジカルコーチングを体験していただきました。実際にコーチングを受けてみて、どんな気づきがありましたか?
橋本さん:
参加者たちは、演劇ワークショップという予想外の展開に最初は戸惑いながらも、歌ったり、踊ったり、時には心の奥底から叫んだりと役に入り込み、思い思いに表現を楽しんでいました。

特に「この状況では、どう振舞えばいいだろうか?」「このセリフをどう伝えたら、相手に最も効果的に届くか?」「この表情で、役の心の動きをいかに表現できるか?」と自問自答しながら、様々な感情を表現しようとする姿が印象的でした。

自分とは異なる価値観や考え方を持つ人々の立場に立って心の動きを理解しようとする試みは、まさにリーダーシップ育成に不可欠な「共感力」を養う上で、非常に有効な経験だったと思います。「自分なのに自分じゃない」という不思議な感覚の中で、普段の自分では考えもつかないような行動や感情を体験できたのではないでしょうか。
また「一つのミュージカルを成功させたい」という強い一体感を持ち、集中して取り組んでいた姿が印象に残っています。互いを尊重し合い、協力し合いながら、普段とは異なる自分を引き出そうと試みているようでした。このような実践的な経験は、リーダーに大切な「コミュニケーション能力」や「自信」を養う上で、理論だけでは得られない貴重なトレーニングになったと思います。
園田さん:
研修から戻ってきたメンバーを見て、私は率直に感動しました。皆、表情が輝き、目がキラキラしているのです。
難しいビジネス交渉でも、以前は、「こうしたい」「ああしたい」と自分の意見を一方的に押し出すような場面が多かったのですが、今では、相手との共感や理解を深めようとする姿勢が強く感じられます。ワークショップで学んだ表現方法を活かし、相手の心に響く言葉を選び、丁寧に説明しようとする姿に、彼らの成長を実感しました。
もちろん、これらのスキルを完全に身につけるためには、日々の業務の中で実践を重ねていく必要があります。しかし、今回の研修で得た経験と知識を礎に、彼らがさらなる高みを目指し、成長していくことを確信しています。
-リーダーの皆さんがコーチングを受けるようになってから、会社全体にどんな変化が見られましたか?
園田さん:
プログラムを受講したメンバーは、社内全体にポジティブな影響を与えていると感じています。受講生たちには、全社会議でグループディスカッションのファシリテーターを任せるなど、積極的に活躍の場を与えていますが、彼らが堂々とリーダーシップを発揮する姿を見るたび、周囲の社員も刺激を受けているのが分かります。とてもいい循環が起こり始めていると感じていますね。
橋本さん:
受講生からは「もっとやりたい」といった前向きな声が上がっていて、人事としても大きな手応えを感じています。 彼らの中に、新しい可能性が芽生えていることを実感しています。
日々忙しく働く中で、自分と向き合う時間を持つことは容易ではありません。しかし、このプログラムを通して、受講生たちは自分自身と向き合い、より自分らしい働き方を見つけることができたようです。仕事に対するモチベーションも上がり、どこかスッキリした表情の彼らを見ると、私たちも本当に嬉しいです。
園田さん:
今後はこのプログラムを土台に、2期生、3期生と輪を広げていくことで、組織全体が一つの大きなチームとなり、互いを高め合いながら成長していく姿を想像しています。それによって次世代リーダーの育成だけでなく、会社のさらなる発展へとつながり、持続的な成長を実現すると確信しています。

ありがとうございました!
【会社概要】
ウェストロック合同会社
スマーフィット・ウエストロックは、持続可能な紙とパッケージングのグローバルリーダーとして、40ヵ国で500以上のパッケージングコンバーティング事業と63の製紙工場を展開しています。日本法人であるウェストロック合同会社(2024年12月31日に合同会社に社名変更)は、創業1969年、日本のマルチパックのパイオニアとしてスタート。国内屈指の生産力を誇る「島田工場」は、マルチパック専用工場として1981年から稼働し、40年以上の実績があります。年間3億枚の供給能力を誇り、色彩や階調を忠実に再現できる「国内屈指のグラビア印刷機」を備えた生産設備があります。
HP:https://www.westrock.com/company/japan

本記事は、35 CoCreation(サンゴ コ・クリエーション)の「note」にも掲載しております。